抄録
【目的】稀なascending pharyngealinternal jugular arteriovenous fistula(AP-IJ AVF)の1例を報告する.【症例】32歳女性.約5年の経過で右側の拍動性耳鳴および聴力低下が進行し,MRAにて頚静脈球の異常信号が認められた.血管撮影で右後頭動脈から分岐した上行咽頭動脈のjugular branchが栄養する頚静脈球への動静脈瘻を認め,離脱型コイルによる経動脈的塞栓術で根治した.【結論】AP-IJ AVFの瘻孔はanterior condylar confluent(ACC)の近傍に存在するが,硬膜動静脈瘻とは異なる頭蓋外動静脈瘻であり,発生学的には傍脊索動静脈瘻(parachordal AVF)に属し,形態としてはsinglehole AVFであるため,経動脈的塞栓術が有効であった.