【目的】対側頚動脈閉塞を伴う内頚動脈狭窄症(ICS-ICO)に対し,filter 型のdistal protection device(F-DPD)を用いたcarotid stenting(CAS)を第一選択とする血行再建について,初期成績を検証する.
【方法】対象はICS-ICOの17症例で,全例男性,年齢は平均69歳であった.プラーク評価はblackblood MRIによる短軸像でT1強調像におけるプラークの胸鎖乳突筋に対する平均信号強度比が1.25以上をソフトプラークと診断した.F-DPD併用CASを第一選択とし,ソフトプラーク例にはcarotid endarterectomyを原則とした.術前検査,周術期合併症,再狭窄の有無について検討した.
【結果】13例にCASを,4例にCEAを実施し全例で良好な血管拡張が得られた.プラークMRIの信号強度比は,CAS例では1.14±0.36,CEA例では1.48±0.22であった.患者がCASを希望したソフトプラークの3例にはPercuSurge Guardwireを併用し,内2例では全身麻酔下に実施した.症候性の虚血性合併症は無かったが,拡散強調像上の無症候性高信号病変は,CASの3例に存在し,内2例はF-DPD使用例で対側(閉塞側)に出現した.F-DPD併用CASの10例において手技中no/slow flowは認めなかった.CASの3例において,治療を要する遷延性徐脈・低血圧が出現した.平均12ヵ月の観察中に再狭窄例(>50%)は無かった.
【結論】プラーク評価に基づく症例選択と,より慎重な徐脈・低血圧対策により,ICS-ICOに対するF-DPD併用CASは安全かつ有効な血行再建法となり得る.
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