Journal of Neuroendovascular Therapy
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3 巻, 2 号
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原著
  • -PercuSurge GuardWireによる治療成績との比較-
    徳永 浩司, 杉生 憲志, 西田 あゆみ, 平松 匡文, 菱川 朋人, 小野 成紀, 伊達 勲
    2009 年 3 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】Angioguard XPを用いた頚動脈ステント留置術(CAS)の治療成績を,それ以前のPercuSurge GuardWire(以下GuardWire)によるCASの成績と比較した.【方法】2002年9月以降遠位塞栓防止デバイスを用いてCASを行った138例を対象とした.GuardWireによるCAS導入直後に治療を行った前期施行例(GW前期群)と手技の確立した時期に治療を行った後期施行例(GW後期群)の2群に分けた.85例のGuardWire使用例はGW前期群42例とGW後期群43例であった.2007年11月以降のAngioguard XPを使用した症例はAG群とし,53例あった.これらの治療成績について,特に発生した合併症に注目して分析した.【結果】全例でステント留置に成功した.GW前期群では1例が治療5日後の脳出血で死亡し,GW後期群では1例が腹腔内出血による多臓器不全から3ヵ月後に死亡し,他の1例が脳出血により片麻痺を残した.GW前期群と後期群の間にlearning curveの影響は示されなかった.AG群では治療後のMRI拡散強調画像で7例に同側頚動脈領域の梗塞を認め,2例が神経症状の悪化するstrokeとなった.【結論】GW期には出血性合併症が予後不良の原因であった.Angioguard XPを用いたCASでは虚血性合併症が認められ,その低減に努める必要があった.
  • -フィルター型遠位塞栓防止デバイスを用いたcarotid stentingを第一選択とする治療方針と初期成績-
    吉田 和道, 福光 龍, 高崎 盛生, 黒崎 義隆, 鳥橋 孝一, 定政 信猛, 鳴海 治, 山形 専, 光藤 和明
    2009 年 3 巻 2 号 p. 86-93
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】対側頚動脈閉塞を伴う内頚動脈狭窄症(ICS-ICO)に対し,filter 型のdistal protection device(F-DPD)を用いたcarotid stenting(CAS)を第一選択とする血行再建について,初期成績を検証する.【方法】対象はICS-ICOの17症例で,全例男性,年齢は平均69歳であった.プラーク評価はblackblood MRIによる短軸像でT1強調像におけるプラークの胸鎖乳突筋に対する平均信号強度比が1.25以上をソフトプラークと診断した.F-DPD併用CASを第一選択とし,ソフトプラーク例にはcarotid endarterectomyを原則とした.術前検査,周術期合併症,再狭窄の有無について検討した.【結果】13例にCASを,4例にCEAを実施し全例で良好な血管拡張が得られた.プラークMRIの信号強度比は,CAS例では1.14±0.36,CEA例では1.48±0.22であった.患者がCASを希望したソフトプラークの3例にはPercuSurge Guardwireを併用し,内2例では全身麻酔下に実施した.症候性の虚血性合併症は無かったが,拡散強調像上の無症候性高信号病変は,CASの3例に存在し,内2例はF-DPD使用例で対側(閉塞側)に出現した.F-DPD併用CASの10例において手技中no/slow flowは認めなかった.CASの3例において,治療を要する遷延性徐脈・低血圧が出現した.平均12ヵ月の観察中に再狭窄例(>50%)は無かった.【結論】プラーク評価に基づく症例選択と,より慎重な徐脈・低血圧対策により,ICS-ICOに対するF-DPD併用CASは安全かつ有効な血行再建法となり得る.
  • 荻野 達也, 瓢子 敏夫, 片岡 丈人, 早瀬 一幸, 遠藤 英樹, 中村 博彦
    2009 年 3 巻 2 号 p. 94-99
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】動眼神経麻痺で発症しコイル塞栓術を施行した硬膜内脳動脈瘤の動眼神経麻痺の術後回復経過について報告する.【対象】動眼神経麻痺を伴って発症した硬膜内脳動脈瘤6例を対象とした.動眼神経麻痺の程度は完全麻痺が4例,不全麻痺が2例であった.くも膜下出血が4例,未破裂脳動脈瘤が2例であった.最大径5.8~8.7mmで,部位はIC-PC4例,IC-Achor1例,BA-SCA1例であった.【結果】発症から8ヵ月後の動眼神経麻痺の改善は,完全回復4例,不完全回復2例であった.術前不全麻痺の2例はいずれも完全回復した.【結語】コイル塞栓術後の動眼神経麻痺は改善する傾向がみられ,動眼神経麻痺の症状を有することは,クリッピング術かコイル塞栓術かを決定する要因にはならない.
症例報告
  • 当麻 直樹, 佐藤 裕, 山道 茜, 朝倉 文夫, 阪井田 博司, 松島 聡, 滝 和郎
    2009 年 3 巻 2 号 p. 100-105
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】稀なascending pharyngealinternal jugular arteriovenous fistula(AP-IJ AVF)の1例を報告する.【症例】32歳女性.約5年の経過で右側の拍動性耳鳴および聴力低下が進行し,MRAにて頚静脈球の異常信号が認められた.血管撮影で右後頭動脈から分岐した上行咽頭動脈のjugular branchが栄養する頚静脈球への動静脈瘻を認め,離脱型コイルによる経動脈的塞栓術で根治した.【結論】AP-IJ AVFの瘻孔はanterior condylar confluent(ACC)の近傍に存在するが,硬膜動静脈瘻とは異なる頭蓋外動静脈瘻であり,発生学的には傍脊索動静脈瘻(parachordal AVF)に属し,形態としてはsinglehole AVFであるため,経動脈的塞栓術が有効であった.
  • 高橋 聡, 佐久間 郁郎, 大谷 隆浩, 古賀 誠, 戸村 則昭, 渡会 二郎, 柳澤 俊晴, 内藤 雄一郎, 溝井 和夫
    2009 年 3 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】骨変化を伴った海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻の1例を報告する.【症例】69歳の女性.拍動性耳鳴で発症し,複視を訴えて来院した.血管造影で両側の海綿静脈洞に瘻孔を有し,左海綿静脈洞に隣接する静脈瘤および両側上眼静脈への還流と浅中大脳静脈や小脳皮質静脈への逆流を伴う硬膜動静脈瘻が観察された.3-D dynamic CT動脈相で両側海綿静脈洞が早期に描出され,また,骨条件の再構成冠状断像にて静脈瘤に隣接した鞍背のerosionが観察され,静脈瘤や動静脈瘻関連血管の影響が示唆された.経静脈性塞栓術により動静脈瘻は消失した.【結論】骨変化は静脈瘤や瘻孔部に隣接して認められ,塞栓術に際して動静脈瘻の血管構築を理解する上で参考になると考えられる.
  • 平松 匡文, 杉生 憲志, 徳永 浩司, 西田 あゆみ, 早瀬 仁志, 三好 康之, 藤原 賢次郎, 中川 実, 伊達 勲
    2009 年 3 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】Isolated sinusを伴うtransverse / sigmoid sinus dural arteriovenous fistula(TS/SS dAVF)に対するmastoid emissary vein (MEV)経由の塞栓術を報告する.【症例】静脈性梗塞で発症した46歳男性の左TS/SS dAVFに対して,通常の経静脈的アプローチが困難であったため,後頭部の皮下静脈を直接穿刺しMEVを経由して罹患静脈洞に至り,経静脈的コイル塞栓術を行い,完治が得られた.【結論】通常のアプローチが困難な場合にMEVが拡張発達して流出静脈となっていれば,この方法は簡便で良い治療オプションとなり得る.
  • 石澤 錠二, 郭 泰彦, 山下 健太郎, 初田 直樹, 安藤 隆
    2009 年 3 巻 2 号 p. 118-123
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】頚動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy,以下CEA)後に生じた遠位端の血管解離に対し,頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting,以下CAS)により治療を行った症例を報告する.【症例】64歳男性.症候性頚部頚動脈狭窄症に対しCEAを施行した.術後経過に問題はなかったが,MRA,3D-CTAにてCEA施行部の1cm遠位部にentryを有する血管解離を認めた.Entryはstump pressure測定の際に行った動脈穿刺部に一致していた.保存的治療にて無症候に経過するも,フォローアップの画像にて解離腔の拡大を認めたために,CASを施行し解離を修復した.【結論】CEA後に生じる血管解離に対するCASは有効な治療である.3D-CTA等の画像診断によりtrue lumenの位置を把握し,entry部をステントで完全にカバーすることが重要である.Filter protection deviceは,術中造影が可能でステントの正確な位置決めに有用であった.
  • 井坂 文章, 橋本 憲司, 秋山 義典, 岡本 新一郎, 小室 太郎, 新田 武弘
    2009 年 3 巻 2 号 p. 124-130
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/07/10
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】Covered stentを用いて治療した巨大頚部仮性動脈瘤の2例を報告する.【症例1】72歳男性の末期癌患者.主訴は右頚部腫脹と嗄声であった.総頚動脈の蛇行が著しいため外科的に血管を露出して直接穿刺し,covered stentとbare stentを2重に留置して動脈瘤を閉塞させた.【症例2】71歳女性の進行癌患者.主訴は右頚部腫脹,嗄声及び呼吸困難であった.大腿動脈ルートでcovered stentを留置したが滑脱したため,bare stentで滑脱を修正した後,もう1本のcovered stentを用いて3重にステントを留置して動脈瘤を閉塞させた.【結論】Covered stent留置術は巨大頚部仮性動脈瘤に対して有効な治療法と考えられる.
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