抄録
【目的】硬膜動静脈瘻(dAVF)と静脈洞血栓症・狭窄症の合併例に対する経皮的静脈洞形成術の有用性を報告した.【症例】横-S状静脈洞血栓症とdAVFの治療歴を持つ34歳女性.dAVFの再発および対側横-S状静脈洞高度狭窄を認め,頭蓋内静脈還流は鬱滞していた.狭窄部に対して経皮的静脈洞形成術を施行し,順行性の静脈還流を得ることができた.術後経過は良好で,二次治療の追加によりdAVFの消退および静脈洞の開存が得られている.【結論】静脈洞血栓症・狭窄症に続発するまたは合併するdAVFに対し,経皮的静脈洞形成術は有用である.本例におけるdAVFと静脈洞血栓症・狭窄症との経時的関係についても考察した.