抄録
【目的】脳主幹動脈閉塞症例の予後を改善するため,rtPA静注療法と血管内治療併用による血行再建術の有効性と安全性を明らかにする.【方法】2008年1月から2010年3月までの間に,脳主幹動脈の急性閉塞に対してrtPA静注単独で治療した患者27例とrtPA静注と局所血栓溶解併用療法を行った患者9例の検討を行った.【結果】rtPA静注単独群では3ヵ月後の転帰良好modified Rankin Scale(mRS)0-2となったのは中大脳動脈閉塞の27例中4例(15%)であった.併用療法群ではmRS 0-2は9例中5例(55%)であった.併用療法群は静注単独群に比べ術翌日のNational Institute of Health Stroke Scale(NIHSS),3ヵ月後のmRSとも有意に低値であった(P<0.05).また手技による合併症は9例中2例(22%)であったが永続的な障害はみられなかった.【結論】rtPA静注と局所血栓溶解併用療法は主幹動脈閉塞症に対し有効であり,比較的安全に行える治療であると考えられた.