抄録
【目的】脳動脈瘤モデルにおいてコイル挿入力の測定を行い,コイルやカテーテル先端の挙動との関係を検討することで,コイル挿入力の発生パターンを分析した.そして,よりストレスなくコイルが挿入できる挿入方法と挿入速度の条件について考察した.【方法】Yコネクター内のワイヤーの「たわみ」を光学的センサーで計測することでコイル挿入力を測定する装置が開発されている.本装置を用いて,術者が挿入した場合,一定の挿入速度で機械的に挿入した場合について,コイル挿入力を測定した.同時に,顕微鏡で塞栓中のコイルやカテーテルの動きを観察した.【結果】術者による挿入の場合,手の往復運動による影響がみられ,停止から再び動き出す際に静止摩擦が作用していた.機械による挿入の場合,挿入速度によってコイル挿入力の発生パターンに違いがみられ,瘤壁とコイルの間の摩擦状態(静止摩擦状態か動摩擦状態か)が影響していた.【結論】挿入操作と挿入速度によってコイルと瘤壁との摩擦状態が決まり,挿入力の発生パターンに影響することが判明した.コイルと瘤壁の間の動摩擦状態を維持できるような挿入条件が設定できれば,ストレスなくコイルが挿入できると考えられた.