2010 年 4 巻 3 号 p. 164-170
【目的】近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)による術中モニタリング下で急性期にcarotid artery stenting(CAS)を施行した頚部頚動脈狭窄症による脳梗塞の1例を報告する.【症例】右片麻痺および失語にて発症した76歳男性.頭部CTでは明らかな虚血性変化を認めなかったが,CT潅流画像では左中大脳動脈領域に広範囲にpenumbra領域を認めた.3D-CTAでは左内頚動脈起始部に高度狭窄を認めた.治療前はNIRSにて局所酸素飽和度の著明な左右差を認めた.前拡張後,ステントを留置した.ステント留置直後に左側の局所酸素飽和度が10%上昇したため,後拡張は施行せず手技を終了した.術後経過は順調であった.【結論】急性期CASではNIRSの所見が術中の拡張手技のdecision makingに有用である.