【目的】不完全なクリッピングによる残存動脈瘤に対する脳血管内手術(EVS)の有用性を検討した.
【方法】1999年4月から2009年5月までの17例でクリッピング後の残存動脈瘤が認められ,男性6例,女性11例,平均59歳であった.破裂瘤が10例,未破裂瘤が7例で,部位は後交通動脈瘤5例,後下小脳動脈分岐部動脈瘤4例,前交通動脈瘤4例,脳底動脈先端動脈瘤2例,中大脳動脈瘤と上小脳動脈分岐部動脈瘤各1例であった.クリップが瘤のネックを不完全に閉塞している症例をType A,クリップがドーム上にある症例をType B,クリップが動脈瘤から完全に離れている症例をType Cと分類した.
【結果】クリッピングからEVSまでの期間は,平均4.7年で,EVS時の残存瘤のサイズは10mm以下が14例,10mm以上が3例で,クリップの位置関係は,Type A(2例)11.8%,Type B(6例)35.3%,Type C(9例)52.9%であった.EVSの成功率は94.1%で,成功した16例中12例は完全閉塞,4例でネックが残存した.合併症は無く,1例はコイルコンパクションを来し再治療を要した.
【結論】EVSは不完全クリッピング後の残存瘤の治療法として安全かつ有用である.残存瘤の形態学的検討を3D回転血管撮影などで詳細に行うことが重要である.
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