Journal of Neuroendovascular Therapy
Online ISSN : 2186-2494
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4 巻, 3 号
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原著
  • 今村 博敏, 坂井 信幸, 足立 秀光, 上野 泰, 國枝 武治, 坂井 千秋, 小柳 正臣, 蔵本 要二, 重松 朋芳, 五百蔵 義彦, ...
    2010 年 4 巻 3 号 p. 133-139
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】破裂および未破裂動脈瘤に対する瘤内塞栓術後の再開通の危険因子について検討した.【対象】2001年4月から2003年12月に瘤内塞栓術を施行した82例の動脈瘤のうち,5年以上の経過観察が可能であった破裂動脈瘤18例,未破裂動脈瘤40例を対象とした.【結果】破裂動脈瘤,未破裂動脈瘤の再開通は,それぞれ9例(50.0%),11例(27.5%)に認められた.その中で5例に再治療を試みたが,3例ではコイルを留置できなかった.塞栓術6ヵ月後の脳血管撮影で再開通を認めずに,その後の経過観察中に再開通を認めた症例は,破裂動脈瘤,未破裂動脈瘤でそれぞれ0例,2例(6.7%)とまれであった.未破裂動脈瘤,破裂動脈瘤の再開通の危険因子は未破裂動脈瘤では低い塞栓率であったが,破裂動脈瘤の再開通予測因子を特定できなかった.【結論】破裂動脈瘤は塞栓率が高くても再開通することがあるが,破裂,未破裂動脈瘤ともに6ヵ月後の脳血管撮影で再開通を認めなければ,その後の長期成績は良好であった.
  • 仁木 淳, 鈴木 祥生, 倉田 彰, 岩本 和久, 中原 邦晶, 佐藤 公俊, 山田 勝, 北原 孝雄, 藤井 清孝, 菅 信一
    2010 年 4 巻 3 号 p. 140-145
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】不完全なクリッピングによる残存動脈瘤に対する脳血管内手術(EVS)の有用性を検討した.【方法】1999年4月から2009年5月までの17例でクリッピング後の残存動脈瘤が認められ,男性6例,女性11例,平均59歳であった.破裂瘤が10例,未破裂瘤が7例で,部位は後交通動脈瘤5例,後下小脳動脈分岐部動脈瘤4例,前交通動脈瘤4例,脳底動脈先端動脈瘤2例,中大脳動脈瘤と上小脳動脈分岐部動脈瘤各1例であった.クリップが瘤のネックを不完全に閉塞している症例をType A,クリップがドーム上にある症例をType B,クリップが動脈瘤から完全に離れている症例をType Cと分類した.【結果】クリッピングからEVSまでの期間は,平均4.7年で,EVS時の残存瘤のサイズは10mm以下が14例,10mm以上が3例で,クリップの位置関係は,Type A(2例)11.8%,Type B(6例)35.3%,Type C(9例)52.9%であった.EVSの成功率は94.1%で,成功した16例中12例は完全閉塞,4例でネックが残存した.合併症は無く,1例はコイルコンパクションを来し再治療を要した.【結論】EVSは不完全クリッピング後の残存瘤の治療法として安全かつ有用である.残存瘤の形態学的検討を3D回転血管撮影などで詳細に行うことが重要である.
症例報告
  • 近藤 礼, 佐藤 慎治, 伊藤 美以子, 板垣 寛, 長畑 守雄, 齋藤 伸二郎, 嘉山 孝正
    2010 年 4 巻 3 号 p. 146-150
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】前下小脳動脈のmeatal loopより遠位部に発生した動脈瘤に対し瘤内コイル塞栓術を施行し得た一例を報告する.【症例】86歳女性.くも膜下出血で発症した.発症日に施行した脳血管撮影と3D-CTAでは出血源が不明であったが,発症2週間後の3D-CTAにて左前下小脳動脈遠位部に動脈瘤が認められた.瘤内コイル塞栓術を行い,合併症なく良好な結果を得た.【結論】我々の知る限り,前下小脳動脈のmeatal loopより遠位部に発生した動脈瘤に対し親動脈を温存しつつ瘤内コイル塞栓術を施行した初の報告である.
  • 河村 洋介, 庄島 正明, 金子 直樹, 難波 克成, 渡辺 英寿, 根本 繁
    2010 年 4 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】治療困難な破裂内頚動脈瘤に対して部分塞栓術を行い,流速低下部位に一致した瘤内血栓化を認めた症例を報告する.【症例】軽症のくも膜下出血で来院した91歳女性.広頚かつ大型(22mm)の右内頚動脈瘤を認め,保存的に治療したが1ヵ月後に再出血した(WFNS GradeII).再出血当日の部分塞栓術直後は瘤全体が造影されたが,2週間後の血管撮影でブレブを含む動脈瘤先端部の血栓化を認めた.同部位は治療前の画像を元にコンピューターシミュレーションで可視化された流速低下部位に一致していた.【結論】塞栓術がdome fillingで終了した場合であっても,脳動脈瘤内の流速低下部位に血栓化が起こりやすいことが示唆された.
  • 広田 暢夫, 保格 宏務, 加藤 晶人, 桜井 孝, 三代 貴康, 露無 松平
    2010 年 4 巻 3 号 p. 157-163
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】persistent proatlantal artery(PPA)を合併した頚部頚動脈狭窄症に対し,バルーン付ガイディングカテーテルとAngioguardによるcarotid artery stenting(CAS)を施行した症例を報告する.【症例】77歳男性,主訴は意識障害.MRIで左脳梗塞を認め,MRAでは左頚部頚動脈狭窄および同側遺残原始動脈を認めた.脳血管撮影では内頚動脈に54%の狭窄が認められ,3D-CTAでPPA,type1と診断した.狭窄部は内頚動脈とPPAの分岐部直前であり通常の手技ではPPAの遠位塞栓防止ができないため,バルーンにて外頚動脈分岐部ごと総頚動脈を遮断し,PPAから内頚動脈へのflow reversalを利用し,内頚動脈のAngioguardによるembolic protection下で,合併症なくCASを施行し得た.【結語】PPAを合併する頚部頚動脈狭窄症に対する本方法によるCASは,有用な方法と考える.
  • 大村 真弘, 定藤 章代, 田中 鉄兵, 早川 基治, 前田 晋吾, 加藤 庸子, 佐野 公俊, 廣瀬 雄一
    2010 年 4 巻 3 号 p. 164-170
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)による術中モニタリング下で急性期にcarotid artery stenting(CAS)を施行した頚部頚動脈狭窄症による脳梗塞の1例を報告する.【症例】右片麻痺および失語にて発症した76歳男性.頭部CTでは明らかな虚血性変化を認めなかったが,CT潅流画像では左中大脳動脈領域に広範囲にpenumbra領域を認めた.3D-CTAでは左内頚動脈起始部に高度狭窄を認めた.治療前はNIRSにて局所酸素飽和度の著明な左右差を認めた.前拡張後,ステントを留置した.ステント留置直後に左側の局所酸素飽和度が10%上昇したため,後拡張は施行せず手技を終了した.術後経過は順調であった.【結論】急性期CASではNIRSの所見が術中の拡張手技のdecision makingに有用である.
テクニカルノート
  • 鶴田 和太郎, 松丸 祐司, 早川 幹人, 神谷 雄己, 滝川 知司, 松村 明
    2010 年 4 巻 3 号 p. 171-177
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】再開通困難であった急性期内頚動脈閉塞に対し,マイクロカテーテル2本を用いた機械的血栓除去テクニック(loopextraction technique)により,再開通が得られた1例を経験したので報告する.【症例】66歳女性.右内頚動脈海綿静脈洞部閉塞の症例で,発症70時間で血管内治療を開始した.カテーテルによる血栓吸引やマイクロスネアによる血栓除去を試みたが再開通は得られなかった.マイクロカテーテル2本を血栓の遠位側まで誘導し,一方のカテーテルからのスネアで,もう一方のカテーテルを捕捉し,ループを形成した状態で引き戻してくると,血栓が回収され再開通が得られた.【結論】loopextraction techniqueは内頚動脈内の基質化した塞栓性の血栓除去に有効であると考えられた.
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