2010 年 4 巻 3 号 p. 157-163
【目的】persistent proatlantal artery(PPA)を合併した頚部頚動脈狭窄症に対し,バルーン付ガイディングカテーテルとAngioguardによるcarotid artery stenting(CAS)を施行した症例を報告する.【症例】77歳男性,主訴は意識障害.MRIで左脳梗塞を認め,MRAでは左頚部頚動脈狭窄および同側遺残原始動脈を認めた.脳血管撮影では内頚動脈に54%の狭窄が認められ,3D-CTAでPPA,type1と診断した.狭窄部は内頚動脈とPPAの分岐部直前であり通常の手技ではPPAの遠位塞栓防止ができないため,バルーンにて外頚動脈分岐部ごと総頚動脈を遮断し,PPAから内頚動脈へのflow reversalを利用し,内頚動脈のAngioguardによるembolic protection下で,合併症なくCASを施行し得た.【結語】PPAを合併する頚部頚動脈狭窄症に対する本方法によるCASは,有用な方法と考える.