2012 年 6 巻 2 号 p. 133-140
【目的】未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術中にEnterprise VRDのデリバリーワイヤーが離断し,血管内に遺残した症例を報告する.【症例】63歳女性.ネッククリッピング術後遠隔期に再発した右内頚動脈―後交通動脈分岐部の広頚動脈瘤に対しステント併用コイル塞栓術を企図した.ステント留置の際にデリバリーワイヤーが離断し,グースネックスネアを用いて回収を試みたが回収不能であり,直達手術にて回収した.【結論】Enterprise VRDのデリバリーワイヤー離断は稀ではあるが起こり得る.屈曲部に留置する場合,デリバリーワイヤーに過度のトルクがかかる場合などは本合併症を念頭に対処することが必要である.