抄録
【目的】原始遺残舌下動脈に関連した破裂脳動脈瘤に対しコイル塞栓術を行った1例を報告する.【症例】42歳女性.くも膜下出血にて発症した後下小脳動脈瘤.併存する原始遺残舌下動脈経由でコイル塞栓術を行った.動脈瘤は非血管分岐部にあり,真性動脈瘤以外に解離性脳動脈瘤の可能性も考慮されたが,拡張部のみをコイル塞栓することで再出血なく良好な臨床経過を得た.【結論】本動脈瘤は原始遺残舌下動脈および両側椎骨動脈低形成を伴っており,発生解剖学的解釈に一考を要したが,再出血予防として,瘤内のみをコイル塞栓術にて閉塞することは十分な妥当性があると考えられた.その発生学的な機序を明確にするためには今後のさらなる症例検討が必要である.