抄録
【目的】脳動脈瘤に対するHyperForm(eV3 Neurovascular, Irvine, CA, USA)を用いたバルーン支援によるコイル塞栓術において,ワンタッチスライド開閉機能が付いたYコネクターのサムホイールでガイドワイヤーを固定する際にバルーンが拡張する現象を確認したので,操作上の注意事項を含めて報告する.【方法】2011年4月から2012年12月の間,当施設で24例の脳動脈瘤に対してHyperFormを用いたバルーン支援によるコイル塞栓術を施行した.HyperForm に接続するYコネクターは,13例にワンタッチスライド開閉機能が付いたYコネクターを使用し,11例は従来の絞り型のバルブによるYコネクターを使用した.【結果】HyperFormのセットアップ時にワンタッチスライド開閉機能が付いたYコネクターのサムホイールを回してワイヤーを固定すると,全例にバルーンの拡張を認めた.従来の絞り型のバルブによるYコネクターで同様の操作を行ったが,バルーンの拡張は認めなかった.【結論】ワンタッチスライド開閉機能が付いたYコネクターは,デバイスの出し入れが多くなる症例では同部からの出血を減らすメリットがあるが,先端開口部をガイドワイヤーで閉鎖して拡張させるシングルルーメンのバルーンカテーテルに使用すると,サムホイールを回すことでカテーテルの内圧を上昇させて予期しないバルーンの拡張を来す危険性がある.