抄録
【目的】くも膜下出血で発症し,複数の流入動脈を認めた頭蓋頚椎移行部硬膜動静脈瘻の1 例を報告する.【症例】45歳,男性.くも膜下出血で発症し,出血源の検索で左頭蓋頚椎移行部の硬膜動静脈瘻を認めた.左椎骨動脈の硬膜枝および左上行咽頭動脈,後頭動脈,深頚動脈が流入動脈として関与していた.2 回の流入動脈塞栓術後に開頭による導出静脈の離断術を行いシャントは消失した.【結論】複数の流入動脈を認めた頭蓋頚椎移行部の硬膜動静脈瘻において,3D-DSA のMPR 画像が診断に有用であった.流入動脈の塞栓後に開頭術を行う治療は考慮されてよいと思われた.