抄録
【目的】副硬膜動脈を経由して罹患静脈洞に到達し,コイル塞栓術が可能であった海綿静脈洞部硬膜動静脈瘻の1例を経験したので報告する.【症例】75歳男性.左結膜充血と左眼球突出を主訴に受診.拡張した左副硬膜動脈と左正円孔動脈を流入動脈とし,海綿静脈洞外側壁に瘻孔を有する動静脈瘻を認めた.静脈還流路は,上眼静脈と深中大脳静脈であり,皮質静脈逆流を認めた.マイクロカテーテルは瘻孔を通過し,罹患静脈洞内での操作も容易であった.コイルによるsinus packingを行い,動静脈瘻を完全に閉塞した.【結論】本疾患においても,拡張した流入動脈を経由し直接罹患静脈洞へ到達が可能となる意外な到達経路が存在する.