抄録
【目的】Flow diverter 効果を目的に2 本の頭蓋内ステントを併用し瘤内塞栓を行った症例を報告する.【症例】51 歳女性.眼瞼下垂を生じ,右内頚動脈C4 部より内方に突出する長径16 mm の血栓化脳動脈瘤を認めた.Jailing technique を用い,まず2 本のEnterprise VRD をneck 部分に重ねて留置すると,DSA にて動脈瘤の描出が遅延し,flow diverter 効果を認めた.続いて瘤内を塞栓し,描出はほぼ消失した.術後良好に推移し,動眼神経麻痺は完全消失した.【結論】血栓化動脈瘤に対する複数本のステント併用下の塞栓術は,選択肢のひとつとなり得る治療法であると考えられた.