抄録
【目的】急性期血行再建において,時にアクセス困難により目的血管に到達できない症例が存在する.病態救急疾患であることを考えるとアクセス困難の際には手技の中止を検討しても良いかもしれないが,一方で総頚動脈直接穿刺を用いることによりアプローチ可能な症例も存在する.【症例】90 歳,男性.左不全麻痺を当院外来で発症した.脳MRI にて右中大脳動脈完全閉塞による急性期脳梗塞と診断した.rt-PA 静注療法後に症状の改善を認めなかったため,血管内治療を施行した.大腿動脈よりアクセスしたが,右腕頭動脈の解剖学的条件から右内頚動脈に誘導困難と判断し,総頚動脈直接穿刺を施行.ステント型血栓回収デバイスによりTICI2b の再開通が得られた.【結語】急性期血行再建において鼠径部を含めたアプローチ困難症例において,総頚動脈直接穿刺法を用いることにより治療可能な症例も存在する.