抄録
出生時よりほぼすべての栄養摂取が胃チューブ経由で行なわれ,経口摂取を拒否しているVACTERL連合患児に対し,拒否が口腔過敏によるものとして栄養指導を開始した。しかし,拒否の改善が見られず,生来の発達遅滞と両側難聴もあいまって指導に難渋した。そこで,言語聴覚士に嚥下機能評価を依頼したところ,口腔過敏よりも経口摂食経験自体の不足と経管栄養への依存が関与している可能性を指摘された。そこで,田角らが提唱している「乳幼児の経管栄養を必要とする摂食障害に対するステップ対応」の活用を試みた。その結果,経口摂取確立に向けて段階的な実施計画を立てられるようになり,徐々にではあるが食行動の変化が見られるようになった。現在も経口摂取確立に至ってはいないが,試行錯誤を繰り返しながらアプローチを続けている。