保健医療科学
Online ISSN : 2432-0722
Print ISSN : 1347-6459
ISSN-L : 1347-6459
特集
地域における医科歯科連携の現状と課題
角町 正勝
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2016 年 65 巻 4 号 p. 408-414

詳細
抄録

これからの歯科医療は,診療室完結型ではなく,他職種と連携していく地域完結型歯科医療でなければならない.本稿は,長崎における医科歯科連携の先駆的取り組みの紹介を行うとともに,在宅高齢者の口腔機能の維持・向上のための医科歯科連携のあり方を検討した.長崎県寝たりきりゼロ戦略検討会を契機に,口腔リハビリテーションの視座に立脚し,他職種と連携して食支援を行うための地域連携システム構築に着手し,救急を担う病院グループと長崎市歯科医師会との間で「脳卒中等口腔ケアネットワークシステム」を,1997年に長崎市においてスタートさせた.その後,長崎市では訪問歯科診療が確実に定着し,現在では,訪問歯科診療の件数は年間1000名弱に達しており,この動きは全国的にも確実に広がりを見せ始めた.これらの一連の取り組みの基盤となったのは,在宅医療を担う医師との連携を中心に,看護師,薬剤師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士,ケアマネージャー等の関連専門職との連携を強化したことが挙げられる.また,栄養士との連携については,医療機関内での連携に加え,在宅ケアの場でも求められている.医科歯科連携を中核とした地域での多職種連携体制の確立は,地域在住高齢者の食支援の推進に不可欠な要素である.

著者関連情報
© 2016 国立保健医療科学院
前の記事 次の記事
feedback
Top