保健医療科学
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特集
保健医療におけるデータの科学的活用
緒方 裕光
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2017 年 66 巻 1 号 p. 2-6

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抄録
近年の情報通信技術(ICT)の発展にともない,あらゆる分野で大量のデータが容易に収集できるようになってきている.保健医療分野においても,疫学・統計的データに比べて,いくつかの利点を持つ大規模データが科学的根拠として利用可能になりつつある.また,これらの大規模データの中にはレセプト情報など医療費に関するデータも含まれており,これらが十分に活用できれば費用対効果の評価も可能になる.すなわち,ICTの進化により取扱い可能なデータ量が増大することにともない,いわゆる「エビデンスに基づく保健医療」のあり方も,現時点では部分的ではあるが少なくともデータ活用の観点からは大きな変革の時期にきていると言える.
保健医療分野におけるデータの科学的活用に関しては,従来の疫学や統計学を用いた方法の重要性は今後も変わらない.しかし,データの範囲と容量が格段に大きくなることにより,疫学または統計学的な限界を解決しうる有力なデータ活用が可能になる.一方で,これらのデータを科学的に活かすためには,データの質の確保や,分析方法の妥当性評価などが今後の重要な課題となるであろう.
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© 2017 国立保健医療科学院
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