保健医療科学
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特集
災害疫学
―環境に影響を与える災害における公衆衛生の視点での健康影響の評価法―
エリック スベンソン
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キーワード: 災害, 疫学, 公衆衛生, 環境
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2018 年 67 巻 1 号 p. 123-132

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抄録

導入:「災害疫学」は,災害時に利用される疫学だと基本的には認識されている.しかし,公衆衛生上の問題をもたらす災害時に適用することから,他の疫学的な手法とは異なる特性を持つようになった.そこで,「災害疫学」の歴史を振りかえりその発展の経緯や災害疫学が持つ特性を概説する.また,関連する文献をレビューすることで,「災害疫学」が情報の集約によりいざという時の対応の効率化に役立つだけでなく,災害がもたらす影響をより深く学ぶことで次の事態によりよく備えられるようになる二つの側面の特徴を示す.

方法:2011年の東京電力福島第一原子力発電所災害に対する現在進行中の公衆衛生面での復興活動やそれを支える研究に対して,「災害疫学」をより広範に適用させることや将来新たな災害が発生した場合の対応措置の準備に役立たせることを意図して文献をレビューした.

結果:「災害疫学」は,追跡調査,影響緩和措置,調査といった手法等を介して,災害を定量的な面からその重大性を理解し,災害に見舞われた人々のニーズを迅速に把握し,そのニーズに対応するだけでなく,将来の災害による公衆衛生上の影響を最小限に抑える方法を学ぶために用いることができる.これまで,学術雑誌に掲載されたこの分野の論文の大部分は災害がもたらす影響の緩和に焦点を当てていた(19本中10本で).

考察:「疫学」と「災害」の両方のキーワードを含む数多くの論文では,災害の中での疫学の適用性についての一貫した認識があった.しかし,19の論文のみがその概念に焦点を当てていたことは,「災害疫学」が疫学のサブカテゴリーとして認識されていないことを示している.しかも,これらの文献では,用語の使い方にばらつきがあった.災害対応での公衆衛生上の課題やそれへの備えの観点から,本来,対応が求められるものの見過ごされがちな分野について,「災害疫学」の意義に関して科学や公衆衛生コミュニティの理解を深めるためには,さらにその学問体系について概念整理を深める必要がある.

結論:「災害疫学」は,疫学の中で特徴のあるサブカテゴリーで,災害時の公衆衛生対応として,追跡的な調査,被害軽減,研究を進める上で役立つ概念である.疫学の重要なサブカテゴリーである「災害疫学」についても教育や手法開発を進めることは災害時における公衆衛生上の課題を軽減し,災害での対応で課題にもなる環境中の有害物質への災害時の曝露の理解を促進するのにも役立つ.

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© 2018 国立保健医療科学院
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