2018 年 67 巻 1 号 p. 84-92
本総説は,2011年に発生した東京電力福島第一原子力発電所に係る緊急作業及び除染作業における放射線防護に関する学術論文をレビューしたものである.これら論文は,2012年から2017年に出版され,本事故の経験に基づく教訓を明らかにするとともに,同様の事故に対する準備に関する指針を提供したものである.本事故については多数の学術論文が報告されているが,作業員の放射線防護に関するものは数少ない.本総説でレビューされた論文は,信頼できる一次情報に基づき,放射線防護上で発生した問題点について詳細な情報を提供しているものである.本総説は,論文を時系列に整理するのではなく,以下の4つの大きなトピック- (a)緊急作業における放射線防護と健康管理,(b)緊急作業後の対応,(c)除染作業に関する新たな法令の制定,(d)放射線の健康影響に関する疫学調査-に分類してレビューを行った.