保健医療科学
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人口減少とインフラの課題から環境リスクを考える
宇都 正哲
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2018 年 67 巻 3 号 p. 306-312

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抄録

我が国は,これから2050年代まで約30年かけて,移民政策を採らなければ,戦後の1965年当時の8,800万人まで減少していく.しかも高齢者比率が約40%と約半数の労働生産人口で日本経済を支えていかなければならない.このプロセスにおいてインフラは老朽化が進むとともに大量更新の時代を迎える.このようななか重要となるのが持続可能なインフラづくりである.そのためには,環境,経済,社会,技術のバランスを考慮する必要がある.本稿ではそのなかでも環境リスクについて論考したが,従来は人口増加や都市化による環境汚染がメイン・イッシューであった.我が国も成長期には公害,ヒートアイランド現象,交通混雑による排ガス問題をはじめ様々な環境問題に直面してきた.その点,人口が減少するのなら,環境負荷は軽減するのでないかという見方をされることが多い.しかしながら,都市が縮退していくプロセスでは,インフラネットワークの効率性が低下するコールドスポット現象が,環境へ悪影響を与える可能性があることはあまり指摘されていない.本稿では,この点を東西統合後の旧東ドイツを例に考察したが,日本でも同様な傾向がみられるのは非常に危惧される.成長期には都市やインフラのSmart Growthが叫ばれたが,人口減少下の日本では,環境リスクに配慮したSmart Shrinkが求められている.SDGsが政策目標とされるが,インフラ再生には環境リスクも忘れてはならないことを提言したい.

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© 2018 国立保健医療科学院
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