保健医療科学
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加熱式たばこ製品の有害性について
稲葉 洋平牛山 明
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2020 年 69 巻 2 号 p. 144-152

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抄録

2020年 4 月から完全施行された改正健康増進法は,望まない受動喫煙をなくすために施設の類型・場所ごとに対策を実施することで対応している.しかし,加熱式たばこは経過措置として,飲食可能な喫煙室での使用が認められている.その理由として加熱式たばこは日本で販売が開始されてから期間も短く,喫煙者の健康影響,受動喫煙に関しても科学的な根拠の蓄積が少ない状況が上げられる.この加熱式たばこは,加工されたたばこ葉を携帯型の装置で加熱することによって発生する煙(エアロゾル)を吸引するたばこ製品である.このたばこ製品は,燃焼を伴わないために紙巻たばこから発生する有害化学物質の発生量を抑制する.

2014年に販売開始されたIQOSをはじめとする加熱式たばこの主流煙(エアロゾル)は,燃焼由来の有害化学物質が90%近く削減されている.しかし,低減されていない有害化学物質も存在している.特に加熱式たばこのエアロゾルの有害化学物質の数はそれほど低減されていないため,加熱式たばこを使用する限りは化学物質の複合曝露は継続されている.依存物質のニコチンは,加熱式たばこと紙巻たばこは同等の含有量が報告されており,加熱式たばこ喫煙者の禁煙は望めない.一方で,加熱式たばこ喫煙者について健康影響評価をまとめたところ,紙巻たばこから加熱式たばこへ変更することによって有害化学物質のバイオマーカー量は90%近く低減されている成分と,50%程度の削減にとどまるバイオマーカーも確認された.さらに,健康影響を指標とするバイオマーカーについては,削減されているという報告と統計的に有意差が認められないといった報告があった.これまでの研究成果から,加熱式たばこの使用によって有害化学物質の曝露量の低減は確認されているものの,健康影響の改善までは確定していない.

現在,加熱式たばこに関する研究報告は,たばこ産業からの報告が多くされている.公衆衛生機関や中立的な立場の研究者から加熱式たばこの長期的な利用による健康影響に関する研究報告が積み上げていくことが急務である.

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© 2020 国立保健医療科学院
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