保健医療科学
Online ISSN : 2432-0722
Print ISSN : 1347-6459
ISSN-L : 1347-6459
特集
健康日本21(第二次)最終評価結果の概要と地方自治体に伝えたいこと
辻 一郎
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 71 巻 5 号 p. 378-388

詳細
抄録

平成25年 4 月に始まった「健康日本21(第二次)」の最終評価が令和 4 年10月に終了した.それによると,53個の目標項目のうち,目標値に達したものが 8 項目(15.1%),改善傾向にあるものが20項目(37.7%),変わらなかったものが14項目(26.4%),悪化したものが 4 項目(7.5%),評価困難が 7 項目(13.2%)であった.平成22年から令和元年までの間に,健康寿命は男性で2.26年,女性で1.76年延びた.これは平均寿命の延び(男性1.86年,女性1.15年)より大きく,「健康日本21(第二次)」で最も重視された「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」という目標は達成された.一方,健康寿命の都道府県格差は,男性では縮小したが,女性では増大した.

各種の生活習慣に関する都道府県格差の推移を示すことにより,健康格差の縮小を図るうえで対象集団の中から課題の大きいところを抽出し,そこへの取組を強化して底上げを図ることの重要性を指摘した.

がんや脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率(アウトカム指標)は目標以上に顕著に減少した.一方,その基盤となるはずの生活習慣(メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の人数,肥満者の割合,成人の喫煙率など)や基礎的病態(収縮期血圧の平均値,高脂血症の割合など)に関する指標は不変・悪化が目立つという矛盾した現象が見られた.

最後に,次期国民健康づくりプランは,今後の人口構造や経済・産業構造の変化を見通した上で策定が進められていることを紹介した上で,都道府県等の健康増進計画を策定するにあたって留意すべき事項を述べた.

著者関連情報
© 2022 国立保健医療科学院
前の記事 次の記事
feedback
Top