厚生労働省エイズ動向委員会の報告によるHIV感染経路別割合では男性同性間の性的接触が約 6 割を占めている.ゲイ・バイセクシュアル男性の多くは自分が同性もしくは両性愛者であることを学校や職場の仲間,家族にも伝えることができず,自分自身のことを隠し,“異性愛者”を装って生活している.そうした状況によるストレスと,HIV感染リスクの高い性交渉との関連が先行研究で指摘されている.
これまでの学校教育において,性的マイノリティに関する肯定的な情報やエイズ予防教育における同性間の感染リスクは扱われる機会が少なかった.性的マイノリティの若者は,適切な情報が十分に得られない中で他者と出会っている現状がある.
当団体ではMSMなど性的マイノリティの心と身体の健康支援と,性的マイノリティが自分らしく過ごせる社会づくりのために2007年から活動を実施してきた.当コミュニティスペース利用者を対象とした調査では,新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)感染拡大のメンタルヘルスへの影響として精神的健康度の脆弱化,とりわけ親と同居しかつカミングアウトしていない層と,同じセクシュアリティの他者との出会いが無い層にその脆弱性が顕著であるという結果がみられた.
教科書や教員研修においてLGBTが扱われる機会は徐々に増えてきているが,知識や情報はまだ十分に届いていない現状である.性的マイノリティの若者が安心してアクセスできる居場所づくりや,啓発活動,支援体制が,今後さらに広がっていくことが望まれる.