2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故以降,社会において放射線リスクへの対応が必要となった.関係者の大変な努力により,放射線リスクや二次的なリスクの低減が図られている.しかし,原子力事故への対応では紛争が継続しており,近隣諸国への対応も含めて今なお課題となっている.
放射線のリスクとの付き合いは,医療分野の放射線利用も課題となっている.このため,医療法施行規則と電離放射線防止規則が改正され,それぞれ新しいルールが施行されて保健所等での対応も求められている.
自然放射線に対して国外では飲料水中の放射性物質や屋内ラドンだけでなく一般消費剤に含まれる自然放射性物質が公衆衛生上の課題として認識され,対策が講じられている.
以上を踏まえ,本誌でも扱われてきた原子力事故対応での放射線リスクの扱いについて社会科学的な視点も含めてフォローアップとして概説するとともに,地方自治体でも対応が求められる医療・産業分野の事例や将来的に国内でも対応が求められるであろう課題に関しても概説した.