保健医療科学
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特集
水道における化学物質に関する最近の話題
小坂 浩司
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キーワード: PFAS, PFOS, PFOA, 農薬類, ハロ酢酸
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2023 年 72 巻 3 号 p. 203-211

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抄録

水道における化学物質の最近の話題として,ペルフルオロ及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS),農薬類,ハロ酢酸を採り上げた.PFASは,2020年にペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)が水質管理目標設定項目に格上げされ,(公社)日本水道協会による水道統計で全国の水道での調査結果が集計されるようになった.しかし,調査地点数は他の項目に比べて少なく,より多くの地点での調査が必要であると考えられた.海外では,PFAS処理を目的に適用されている浄水プロセスが報告されているが,国内では,それらプロセスは,適用事例が多い活性炭処理を含めて,ほとんどの場合,PFAS以外の項目の除去を目的に適用されている.このため,浄水場でPFAS処理に適用した場合の運転条件について,コスト面も含めた検討が重要である.農薬類は,種類が多く,用途により使用時期等が異なるため,検出できるように測定の時期や回数を設定する必要があるが,現状は,全項目を年間1回測定するところが多い等,測定計画が適切に設定されていない場合がある.逐次改正方式により,水質管理目標設定項目に指定されている農薬類の種類や目標値は継続的に見直しが行われている.テフリルトリオン,イプフェンカルバゾン等,新規に追加された農薬類の検出が報告されており,これら新たな農薬類についての対応も求められている.3種の塩素化ハロ酢酸は水質基準項目に指定されているが,特にトリクロロ酢酸は,2015年に基準値が大幅に強化された後は,基準値を超過しやすい物質の一つとなった.要検討項目の臭素化ハロ酢酸のうち,ブロモクロロ酢酸とブロモジクロロ酢酸は目標値案が示され,給水栓中でその50%を超える値が報告されており,臭素化体も含めた管理が望まれる.

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© 2023 国立保健医療科学院
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