保健医療科学
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おもちゃの安全管理と化学物質による健康リスク
戸次 加奈江 湯川 慶子
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2023 年 72 巻 3 号 p. 242-248

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抄録

近年,子どものアレルギー疾患の増加や発達期への影響に対する化学物質の関与が懸念される中,おもちゃは乳幼児期の子どもの身近な生活用品として,化学物質ばく露による健康リスクとの関連が指摘されている.そのため,国内外では,これまでおもちゃに使用される塗料や樹脂に含まれる重金属や可塑剤,着色料など,有害性の高い化合物を中心にばく露評価のための試験法や規格基準が設けられ(食品衛生法[日本],EN71[欧州],CPSIA[米国],ISO 8124など.),各国で安全管理の取り組みが進められてきた.しかしながら,子ども達が日常生活で触れるおもちゃや生活用品は多岐に渡り,規制の基準外の中古製品や工作材料などを含めると,手足や物を口に入れるマウシングなどの特異的な行動によって,日常的におもちゃを介して可塑剤を含めた有害成分を摂取している可能性がある.また,国際的に,おもちゃ業界において圧倒的な生産量を占める中国からの輸入が増えているが,安全管理基準は生産国が独自に設定し生産されているため,国によって規格基準が異なる可能性もある.このような現状を踏まえ,昨今,身近な子ども達の健康と安全な暮らしを守る上では,安全管理のための法規制をより厳格にする必要があるのに加え,我々大人がおもちゃ選びをはじめ正しい知識を持って安心して過ごせる生活環境を提供していくことも,リスクを低減していく上で非常に重要である.

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© 2023 国立保健医療科学院
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