保健医療科学
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我が国における介護現場の安全の取り組み
種田 憲一郎
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2024 年 73 巻 1 号 p. 42-54

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抄録
超高齢社会を迎えて,介護施設の果たす役割は益々大きくなり,介護施設において,安全な介護の実施が求められている.医療安全の取組みの推進において,まず起きている事故を把握することの必要性から,「Reporting first」と言われる.本邦においては,国レベルの事故報告システムとして,2004 年から医療事故情報収集等事業,2015 年から医療事故調査制度が開始されている.一方で介護における事故情報収集に関しては,地方公共団体にまかされているが,必ずしも介護の安全に活かされていない.このため介護現場の事故情報収集においても,将来,国レベルでの活用の仕組みの構築を視野にいれた,報告様式の標準化,介護現場の安全管理体制の強化などが取り組まれつつある.さらに介護現場の取組み状況についてのヒアリングなどからは,介護安全の全体構成(案)を参考に,事故予防に体系的に取組むための仕組み(報告,分析,対策立案,実施,評価など)と利用者・家族も含めて多職種で協働する訓練を整備・推進する取組みが,各施設レベルでも各自治体レベルでもさらに期待される.この論文では,本邦における介護現場における安全の取組みの現状について紹介する.
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© 2024 国立保健医療科学院
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