保健医療科学
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第3期データヘルス計画 令和6年度~令和11年度(6年)
尾島 俊之
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2024 年 73 巻 2 号 p. 89-99

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抄録

データヘルス計画とは,医療保険者による保健事業の実施計画であり,被保険者の健康の保持増進に資することを目的として,医療保険者等が効果的・効率的な保健事業の実施を図るため,特定健康診査・特定保健指導の結果,レセプトデータ等の健康・医療情報を活用して,DPCAサイクルに沿って運用するものである.「日本再興戦略」(平成25(2013)年,閣議決定)によって始められた.平成27(2015)年度~29(2017)年度(3か年)の第1期計画,平成30(2018)年度~令和5(2023)年度(6か年)の第2期計画が実施されており,令和6(2024)年度~令和11(2029)年度(6か年)の第3期計画が開始されている.データヘルス計画策定の最新の手引きとして,「国民健康保険保健事業の実施計画(データヘルス計画)策定の手引き」,「高齢者保健事業の実施計画(データヘルス計画)策定の手引き」,「データヘルス計画作成の手引き 第3期改訂版」がそれぞれ示されている.本稿では,国民健康保険向けのものを中心に,上記の手引き等を参考に解説を行う.

第3期データヘルス計画の特徴は,標準化が行われたことである.標準化の利点として,同じ指標で経年的にモニタリングできる,他の保険者と比較できる,業務負担を軽減できるなどがあげられる.標準化の内容としては,① 様式,② 指標,③ 策定の流れの標準化がある.策定の流れとしては,現状の整理(分析),健康課題の抽出,目的・目標・目標を達成するための戦略,個別の保健事業をそれぞれ検討して記載する.様式の標準化としては,計画全体のシートに,保険者の健康課題(優先する健康課題),データヘルス計画全体における目的(計画全体における評価指標,目標値を含む),目標を達成するための戦略,個別の保健事業を記載するようになっている.共通の評価指標が,国民健康保険,後期高齢者広域連合,健康保険組合等においてそれぞれ示させれている.

策定の手引きでは,そのほかに,分析と健康課題の抽出,目的・目標・戦略,保健医療関係者等との連携,一体的実施と地域包括ケアなどについても記載されている.

健保組合に関しては,データヘルス・ポータルサイト,コラボヘルス,健康スコアリングレポートなどの取組が推進されている.

個別の保健事業等によるアクションによって,PDCAサイクルを回して,効果的・効率的に人々の健康の保持増進が図られることが期待される.

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