2024 年 73 巻 3 号 p. 225-230
本稿では,高齢者の生活を支える技術や機器の利用やサービスの現状と動向を紹介し,その在り方や今後の課題を整理することを目的とした.具体的には,介護サービスにおけるテクノロジーについて,介護保険制度における福祉用具,介護ロボット技術,介護業務負担を低減するための介護機器,地域在住超高齢者の支援機器利用状況の概要を紹介し,支援機器の在り方や今後の課題について述べた.福祉用具については,要介護度の高い高齢者の生活機能を支援するだけではなく,要支援レベルの高齢者の自立支援においても機器が取り入れられる現状を示し,支援機器を適切に導入することで自立生活を支えることの意義について述べた.介護ロボットに関しては,介護現場の状況変化に応じた重点分野の見直しやICT活用の事例を紹介し,今後の利活用分析やデータ活用に基づくさらなる介護サービスの質向上や介護業務負担低減のための課題を示した.さらに,地域在住超高齢者の調査事例では,90歳以上の超高齢者の支援機器利用実態調査事例を紹介し,技術や機器の導入及び使用を支援する情報プラットフォームや,人的体制などの複合的な仕組みの必要性を示した.結論として,我が国の将来の科学技術政策と高齢者政策において,ELSIを含めた技術や製品,システムの配置や重要性を述べるとともに,高齢社会の実現像や個々人の高齢期の生き方について議論を深めることが極めて重要であることを示した.