2024 年 73 巻 3 号 p. 243-250
世界保健機関(World Health Organization:WHO)研究協力センターの活動の一環として,2023年9月25日から9月29日に「地域包括ケアを実施するための能力開発ワークショップ」”Turning Silver into Gold: Capacity Building Workshop for Starting Community-Based Integrated Care”を国立保健医療科学院(以下,科学院)において実施した.本ワークショップは,地域包括ケアの枠組みの中で,社会的処方や地域ケアなどの健康的で活動的な高齢化社会へのイニシアティブの実践経験をWHO西太平洋地域事務局(World Health Organization Western Pacific Region:WPRO)管轄の加盟国で共有することを目的とした.実際には,各国の高齢化政策(ageing policy)の情報共有,専門家による講義や演習,現地視察を行った.WPRO管轄地域において,国によって高齢化の進行度合い,および健康的で活動的な高齢期に関する施策の進行度は異なっており,各国が優先すべき事項として挙げた内容についても多様であることが明らかになった.本ワークショップはこうした違いを各国の代表が共有・認識し,自国の現状を客観的に捉え,高齢化に関する施策の参考にする機会になったと考えられた.今後,本格的に高齢化を迎える国々で,本ワークショップからの学びが活かされることが望まれる.日本は高齢社会の先進国であり,高齢化政策(ageing policy)分野が,日本の国際協力の柱となり得ると思われる.