目的:COVID-19の大流行は私たちの生活と地域社会を大きく変えた.医療従事者は世界的なCOVID-19の流行によって個人防護具が不足する中で,医療・看護・介護を提供し続けなければならなかった.第一線で活躍するプライマリ・ケアの事業所管理者たちは,COVID-19によるパンデミックにおける自事業所に対してどのような認識をもち,彼らはどのような行動をとり,この危機に対応したのだろうか.本研究の目的は,COVID-19のパンデミック禍におけるプライマリ・ケアの事業所管理者たちの姿勢と行動を危機管理の視点から明らかにすることである. 方法:本研究はプライマリ・ケアの事業所管理者に対する半構造化面接調査を行った.4人の研究者が日本の20の診療所(開業医診療所7,歯科診療所13)と11の介護サービス(訪問看護ステーション7,入居型介護・ホームヘルプサービス4)の管理者に,対面,もしくは,遠隔通信機器を用いてインタビュー調査を行った.インタビュー結果は質的記述的アプローチを用いて分析した. 結果:31名のプライマリ・ケアの事業所管理者にインタビューを行った結果,1事業所に責任を持つという自覚,2医療を通じて地域に貢献するという自覚,3地域住民一人ひとりの生活を尊重するという自覚,の3つの認識に関するカテゴリーが見出された.また,行動面では1職員を守るための行動をとる,2施設を保護するための対策を講じる,3施設の感染対策の方針を策定し実施する,4サービスの継続と地域サービスを確保する,5地域における感染対策に協力する,の5項目がみられた. 結論:第一線のプライマリ・ケアの事業所管理者はCOVID-19パンデミック時に,強力な変革的リーダーシップを発揮し,自事業所のみならず,地域の医療・看護・介護サービスの提供が停止しないよう行動していた.