保健医療科学
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特集
地域保健・医療・福祉の未来
尾島 俊之
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 74 巻 5 号 p. 426-434

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抄録

地域における保健・医療・福祉の未来についてまとめた.日本では,急速な人口減少と高齢化が進む一方で,喫煙率や食塩摂取量の低下等により健康寿命は延伸してきた.しかし,身体活動の低下,男性における肥満の増加,孤独・社会的孤立の深刻化といった課題も進行している.さらに,気候変動に伴う災害,感染症,経済財政危機に関連する複合的な健康リスクも存在する. これらの変化に対応するためには,健康格差の縮小,自治体間の共同,地域資源の発掘・育成・活躍,兼業の機会拡大などが重要な方向性となる.特に,配慮有る普遍的対策やライフコースアプローチといった戦略は,健康格差に対処するために重要である. 今後の地域保健・医療・福祉活動においては,決められた手段をこなす活動よりも,目的や目標を指向した取り組みを推進し,PDCAサイクルやOODAループによる効率的・効果的な活動を行うことが求められる.縦割りや「支え手・受け手」という従来の関係を超えて,互いに支え合う地域共生社会の推進が不可欠である. 地区活動に関しては,NPO,民間企業,共通の関心を持つコミュニティなどと連携し,市町村や都道府県といったより広い範囲での取り組みを進める必要がある.自治体同士の共同事業や,市町村・都道府県間による相互支援の推進も重要である. 情報通信技術の活用については,定型的な事務の効率化に加えて,関係者間の情報共有,人工知能の活用,オンラインによる保健指導などへと取り組みを広げていくことが求められる. これらの取り組みを通じて,困難な状況があっても,住民の健康と幸福が向上することを期待したい.

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© 2025 国立保健医療科学院

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