2020 年 6 巻 1 号 p. 6-11
2019年本誌第5巻での症例報告以来,三叉神経痛に対する桂枝加朮附湯を中心とした漢方薬治療症例を重ねた。大後頭神経痛のような頚椎症性疼痛が修飾された痛みや舌咽神経痛にも漢方薬治療の幅を広げて,その有効性を検討した。三叉神経痛9例中8例で治療効果を認めた。そのうち症状改善し漢方薬治療を終了した3例は休止後も痛みのない状態が続いている。舌咽神経痛の1例は再来なく効果不明。大後頭神経痛の1例は駆瘀血剤使用の後に附子を含む漢方薬を使って痛みが取れた。桂枝加朮附湯を中心とした痛みに対する漢方薬治療で概ね満足できる治療効果が得られた。