2020 年 6 巻 1 号 p. 33-38
超高齢化社会が現実化した今日,認知症が激増し,介護者の負担増,医療費の増大などが大きな社会問題になっている。とりわけBPSDはアパシー,抑うつ,不安,焦燥から興奮,妄想,徘徊そして高度食欲不振による衰弱まで多彩な症状が出現し,家族,医療スタッフは多大な労力を強いられている。今回,MCIの段階から後期認知症状態まで,症状に応じて漢方薬を選択投与し,良好な経過を認めた症例を経験した。漢方薬を適宜使用することにより,患者のQOLが改善され,さらに介護にかかわる人々の負担が軽減される可能性が示唆された。