2023 年 8 巻 1 号 p. 29-32
80歳,男性。外傷がない意識障害で発症した左急性硬膜下血腫に対して,開頭血腫除去術を施行した。術後,遷延性意識障害となり,持続性の吃逆を呈するようになった。栄養管理目的で経管栄養を投与しつつ,吃逆に対し芍薬甘草湯の投与(7.5 g/日)を行った。芍薬甘草湯の投与により,吃逆の頻度はすぐに減少し,投与開始3日目には吃逆は消失し,芍薬甘草湯の投与も中止とした。芍薬甘草湯の投与を中止しても吃逆の再発はみられなかった。急性硬膜下血腫術後に伴う吃逆に対し,芍薬甘草湯は有効な治療法の一つと考えられた。