抄録
我々は,Web 上の情報信憑性判断を支援するための技術として,調停要約の自動生成に関する研究を行っている.調停要約とは,一見すると互いに対立しているようにみえる二つの言明の組が実際にはある条件や状況の下で両立できる場合に,両立可能となる状況を簡潔に説明している文章をWeb文書から見つける要約である.しかしながら,対立しているようにみえる言明の組は一般に複数存在するため,利用者がどの言明の組を調停要約の対象としているのかを明らかにする必要がある.本論文では,利用者が調停要約の対象となる言明の組を対話的に明確化した状況下で調停要約を生成できるように改善した手法を提案する.また,提案手法は,従来の調停要約生成手法に,逆接,限定,結論などの手掛かり表現が含まれる位置と,調停要約に不要な文の数を考慮することで精度の向上を図る.調停要約コーパスを用いた実験の結果,従来手法と比較して,調停要約として出力されたパッセージの上位 10 件の適合率が 0.050 から 0.231 に向上したことを確認した.