2021 年 28 巻 2 号 p. 598-631
会話を通して料理に関するユーザの嗜好を獲得する対話システムの実現に向け,本研究ではグラフ構造を持つ大規模知識 Freebase に基づいて,話題を選択し,質問を生成する手法を提案する.知識グラフのエンティティ間の関係を話題とみなし,話題どうしの関連の強さを Wikipedia に基づき学習し,関連話題を選択するとともに,質問生成時に欠損しているエンティティを知識グラフ埋め込みにより予測・補完する.これらにより,話題を幅広く展開しながらユーザの嗜好を質問することが可能になる.提案手法を実装した質問生成機構を組み込んだインタビュー対話システムを作成し,クラウドソーシングにより被験者を募りユーザスタディを行った.その結果,1 つの料理から話題を展開した対話を長く継続するという効果を示すとともに,提案手法により生成された質問の質を調査した.さらに,対話破綻が一定以下に抑えられた場合に,被験者の主観評価において,話題の多様性や文脈の継続性が印象づけられることを示した.