抄録
高次元空間における最近傍検索 (nearest neighbor search) は, マルチメディア・コンテンツ検索, データ・マイニング, パターン認識等の分野における重要な研究課題の1つである. 高次元空間では, ある点の最近点と最遠点との問に距離的な差が生じなくなるという現象が起こるため, 効率的な多次元インデキシング手法を設計することが極度に困難となる. 本稿では, 1次元自己組織化マップを用いた近似的最近傍検索の手法を提案し, 提案した手法の有効性を類似画像検索と文書検索の2種類の実験により評価する. 自己組織化マップを用いて, 高次元空間での近傍関係をできる限り保ちつつ, 高次元データを1次元空間へ配置し, 1次元マップから得られる情報で探索範囲を限定することにより, きわめて高速な最近傍検索が可能となる.