自然言語処理
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人間による翻訳文と機械翻訳文の語彙的差異の計量分析
吉見 毅彦
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2003 年 10 巻 5 号 p. 55-74

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抄録

本稿では, ニュース記事から無作為抽出した英文を英日機械翻訳システムで翻訳した結果と, これらの英文を人間が翻訳した結果を照らし合わせ, 両者の間にどのような違いがあるのかを計量的に分析した. その結果, 次のような量的な傾向があることが明らかになった.(1) 人間による翻訳に比べ, システムによる翻訳では, 英文一文が複数の訳文に分割されにくい傾向が見られる.(2) システムによる翻訳と人間による翻訳の間で訳文の長さの分布に統計的有意差が認められる.(3) 用言の連用形と連体形の分布に有意差が認められ, システムによる翻訳のほうが人間による翻訳よりも複雑な構造をした文が多いことが示唆される.(4) 体言と用言の分布には有意差は認められない.
さらに, 動詞と名詞に関して比較検討を行ない, システムによる翻訳を人間による翻訳に近づけるために解決すべき課題をいくつか指摘した.

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