自然言語処理
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図形説明課題対話におけるフィラーの分析
心的マーカによる内的処理プロセスの理解へ向けて
山下 耕二水上 悦雄
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2007 年 14 巻 3 号 p. 39-60

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抄録

本研究の目的は, これまで言語学的には感動詞, 言語心理学的には発話の非流暢性として扱われてきた, フィラーを中心に, 情動的感動詞, 言い差し (途切れ) といった話し言葉特有の発話要素を, 人の内的処理プロセスが音声として外化した「心的マーカ」の一部であると捉え, それらが状況によってどのような影響を受けるかを分析し, 対応する内的処理プロセスについて検討することであった.実験的統制のもと, 異なる条件 (役割や親近性, 対面性, 課題難易度) が設定され, 成人男女56名 (18-36歳) に対して, ペアでの協調問題解決である図形説明課題を実施し, 対話データが収集された.その結果, 1) それぞれの出現率は状況差の影響を受けたこと, 2) 出現するフィラーの種類別出現率に差があることが示された.これらの結果が先行研究との対比, 内的処理プロセスと心的マーカの対応, そして結果の応用可能性という観点から考察される.

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