自然言語処理
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コーパスからの形容詞概念階層の構築と評価
実データによる形容詞オントロジーの構築にむけて
神崎 享子馬 青山本 英子白土 保井佐原 均
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2008 年 15 巻 4 号 p. 59-88

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抄録

本研究は, 実データに基づいた形容詞の観点からみた概念体系の自動構築をめざし, その一環として, 形容詞概念の階層関係構築に焦点を当てたものである.包含関係の尺度によって上位下位関係を求め, その単語間の上位下位関係に基づき概念階層を自動構築した.結果については, カバー率などの表層的な面と, 階層の作られ方についての質的な面での評価を行った.階層の質的な面での評価にあたって, 概念の継承関係と事例 (形容詞) の各概念の成員としての連続性という観点から心理実験を行い, 既存の人手によって作られたEDR辞書の階層と比較した.実験手法はScheffeの一対比較法を用いた.その結果, 自動構築がよい, あるいは既存の辞書と有意差がないと判断された階層は, 全体の43%となった.抽出した概念数の不足や階層構築の際の問題点など課題も抱えているが, 自動生成の階層が既存辞書の階層に対して, その結果の半分弱の階層で問題を提起するという意味で, ベースラインとなる数値と考える.

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