自然言語処理
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順接複文における主語の共参照関係の分析
中川 裕志
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1996 年 3 巻 2 号 p. 57-72

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抄録

日本語においては主語が頻繁に省略されるため, 省略された主語すなわちゼロ主語の指示対象同定が重要である. 複文は従属節と主節からなるので, 主節主語と従属節主語がある. したがって, 複文の理解に不可欠なゼロ主語の指示対象同定の問題は, 2段階に分けて考えるべきである. 第一の段階では, 主節主語と従属節主語が同じ指示対象を持つかどうか, すなわち共参照関係にあるかどうかの分析である. 第二の段階では, 第一段階で得られた共参照関係を利用して, 実際のゼロ主語の指示対象同定を行なう。このうち, 第一の共参照関係の有無は, 複文のゼロ主語の扱いにおいて固有の問題であり, 本論文ではこの第一の問題について主として小説に現れるノデ, カラで接続される順接複文について分析した. 分析は, 主節および従属節の述語の意味をIPAの動詞形容詞辞書の分類に従って分類し, 各々の述語がどのような分類の場合において共参照するかしないかを調べた. この結果, 共参照関係の同定に有力であるいくつかのデフォールト規則を見い出した.

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