自然言語処理
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構成素境界解析を用いた多言語話し言葉翻訳
古瀬 蔵山本 和英山田 節夫
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1999 年 6 巻 5 号 p. 63-91

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抄録
表層パタンの照合を行なう構成素境界解析を提案し, 構成素境界解析と用例利用型処理を組み合わせた変換主導型機械翻訳の新しい実現手法が多言語話し言葉翻訳に有効であることを示す. 構成素境界解析は, 変項と構成素境界より成る単純なパタンを用いた統一的な枠組で, 多様な表現の構文構造を記述できる. また, 構成素境界解析は, チャート法に基づくアルゴリズムで逐次的に入力文の語を読み込み, 解析途中で候補を絞り込みながらボトムアップに構文構造を作り上げることにより, 効率的な構文解析を可能にする. 構成素境界解析の導入により, 変換主導型機械翻訳は構文構造の記述力, 構文解析での曖昧性爆発といった, 頑健性や実時間性の問題を解決することができた. さらに, 構成素境界解析と用例利用型処理は単純で言語に依存しない手法であり, 多言語話し言葉翻訳へ適用するための汎用性を高めることができた. 旅行会話を対象とした日英双方向と日韓双方向の話し言葉翻訳の評価実験の結果により, 本論文で提案する変換主導型機械翻訳が, 多様な表現の旅行会話文を話し手の意図が理解可能な結果へ実時間で翻訳できることを示した.
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