2018 年 16 巻 p. 108-119
「情報技術」は人間の知的作業に効率性をもたらす一方で,利用者の心的状態への負の影響も持ち得ることが指摘されている.一方で心理学の分野では心の良い状態を示すためのWellbeing指標が検討されており,これを情報技術に実装するPositive Computingの試みが始められている.しかしながらその設計指針については文化的背景に依存するだけでなく,そもそも定量化された心的状態の最適解を与えて,それに従わせることでは本質的な解決にならない.そこで,本稿ではWellbeingを促進する情報技術の方法論のあり方として,ヒトの無意識に着目した方法論について検討を行った.