社会は情報技術の発達とともに,グローバル化・複雑化が進んでおり,人の持つ価値観も多様化してきている.そして,それに伴い,多様で変化する価値に気づき,広い視野を持って物事を捉えることが社会的に必要とされるようになってきている.本研究では,多様な価値観への気づきを与えるには何が必要か検討しながら,その仕組みのシステム化(AIR-VAS)を目指している.今回,気づきを与えるアプローチの一つとして,議論の場で自分達とは異なるグループの考え方や価値観を可視化させ,示すことで,新たな発想や考えを促すような仕組みを検討した.議論における単語の頻出度や共起度などをもとにして,議論をネットワーク構造で表現し,可視化させるプロトタイプシステムの実装を行い,実際に,ワークショップの中でシステムを運用した.本稿では,その結果を踏まえながら,議論の特徴とシステムの提示する情報の関係性やシステム活用の有効性について考察する.