本稿では,ますます人間らしいロボットが開発される中で,日本の社会文化的な背景を考慮しながら,社会で受容されるロボットの在り方とは何かについて考察を行うことを目的とした.ロボットに対する心理的安心感について検討した研究を概説し,安心感には,ロボットと一緒にいて安心できるという「Comfort」などに合わせて,ロボットがどの程度人間らしいかも関連することを報告した.次に,人間らしさの認知的帰属に関しては,社会の中で学習される認知的機能という側面と,生まれながらにして人間がもっている感情の豊かさの二側面があり,欧米と比較した場合,日本人はそれらの側面のポジティブ・ネガティブの違いも敏感に区別することを報告した.これらの研究から,日本で受容されるロボットの在り方として,社会の価値観に沿っているかどうかや,時系列的な接触の経験などを検討する必要性について議論した.