科学技術社会論研究
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短報
精神医学における当事者参画の動向
英国の事例を元に
田中 慎太郎
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2020 年 18 巻 p. 87-96

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抄録

 精神疾患の当事者が,専門家と協働して精神医学の研究に参画したり,医師や看護師らと協働して精神医学サービスの改善に参画する動きが英国を中心に広がりつつある.英国での精神医学への当事者参画の動向を確認すると,当事者が医学研究に参画することで,専門家のみで研究を行うよりも研究の質が向上する可能性が指摘されている.当事者と専門家の協働を成功させる上では,入念な準備や組織レベルでのサポート,そして二者間の平等で対等な関係を実現するための様々な仕掛けが必要であることが示されている.しかし,日本の精神医学は,英国に比べ様々な点で改革の途上であるため,当事者との協働を成功させるための改革が不十分である可能性がある.精神医学における当事者との協働を考える上では,当事者のみならず,精神科医療従事者も影響下にある,日本の精神医学の構造を検証することが重要だと考えられる.

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© 2020 科学技術社会論学会
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