日本神経回路学会誌
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解説
神経回路網に於ける “小さな世界” の意味
工藤 卓清原 藍田口 隆久
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2007 年 14 巻 3 号 p. 198-204

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抄録

複雑ネットワークの研究の進展により, 自然界に存在するネットワークから一般的な性質を抽出することが可能となってきた. 特に, ノード間の最短経路長が十分小さく且つクラスター化されている度合いが高いSmall-Worldネットワークの特徴は, 神経系に於いては細胞間相互作用のレベル, 脳の領野間相互作用レベルのどちらの階層でも観察される. これらの性質が脳における情報処理に有効である可能性があるが, 具体的な役割に関しては未だ解析が進んでいない. グラフ理論を用いた神経回路網の解析は有効な手法だが, 実際の生体のネットワークの特徴を抽出するためにはグラフ化の手法や結果の解釈に慎重な考察が必要である.

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© 2007 日本神経回路学会
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