日本神経回路学会誌
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解説
計算機モデルによるメダカの行動学
渡辺 英治
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2012 年 19 巻 4 号 p. 175-181

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抄録
捕食者は持てる感覚器を総動員して生き餌を識別し,そして捕獲する.その際,視覚系の情報処理機能は決定的な役割を果たしていることが多い.本稿で紹介する研究では,被食者の運動パラメータを元にして計算機モデルを合成し,それを捕食者に視覚提示することによって,捕食行動を誘引する最適視覚刺激を検討した.結果,捕食者であるメダカは被食者であるミジンコの動きから1/f揺らぎの速度分布パターンを瞬時に抽出し,これをハンティング行動に活用しているという仮説を導くことに成功した.本研究は,計算機モデルによる新しい動物行動学のスタイルを提案するものである.
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© 2012 日本神経回路学会
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